C4 「孔のあいた孔」










2015 設計演習C 第四課題 



「孔のあいた孔」



「有孔体理論」に見られるように、しばしば建築はそれ自身「孔」のアナロジーで説明される。一方で、ある人々は窓を指して孔であると言う。では、建築とは「孔のあいた孔」なのだろうか?或いは建築を「孔のあいた孔」と定義した場合に、一体どんな造形の可能性が存在しうるのであろうか?
築において避けることの出来ない「孔」の問題について、建築の枠組みに縛られることのない立場からユニークな提言をして欲しい。


提出物: ドローイング+立体造形 ドローイング: 275mm x 275mm 表紙+2枚以上 立体造形: サイズ自由


*材料の規制は「光の箱」に準ずる*その他の規制については採点者の立場に立って各自判断すること


出題: 10/28(水) ドローイング提出: 11/4(水) 立体造形提出: 11/11(水) 講評: 11/18(水) 
文責:山本
















1X14A156 山本 圭太 A++   A++ 
世界の中に存在する世界を貫通して落下するブーツ。穴という閉じた世界の中に無限が内包されているのであれば、これは考えうる最も大きな穴を表現した物語なのだろうか。(山本)



























1X14A094 戸田 弘志 A++   A++
セッコウの収縮によるヒビ割れた穴のドローイング作品と傘にあけられ穴から袋をつり下げた立体作品。どちらも「水」ということをテーマとしながらドローイングでは「水」の欠陥による穴の造りを明らかにし、立体では傘にはじかれるという「水」の現象の欠落を機能欠落という2重の意味を与えた。「孔」をそこにあるものの欠落ととらえ、それを物質、現象、機能のそれぞれから、表象化した意欲的な作品である。(早田)


























1X14A023 太田 歩 A++   A+

支点間に架された二つの棒材に正方形のさまざまな素材が同じく孔があけられて、自由にぶら下がっている。渡されたひもに万国旗がはためいているようにである。やりたかったことは虚空にはためく孔ということだろう。この現象が孔のあいた孔という主題を不在の振幅として提示したといえる。(入江)















1X14A150 森 菜穂美 A++ A+
ジョークの種にもなり、哲学の命題にもなりうるドーナツの「孔」。非存在を残すという考えは一見面白そうに見えるが、結果的にはゼロの近似値とゼロを隔てる差異について語ることは出来ていない。(山本)






















1X14A120  百武 天 A++   A+
おおよそ孔とは関係のないフラットな平板を用いて積み重ねることで空隙を生み出し、シャープなすき間を創り出している。空隙の集積模型。建築的な解釈も可能な作品だが、空隙より平板に目がいってしまうことが表現を弱めているように感じられる。(村上)


















1X14A081 鈴木 優也 A++  A+
Drawing「孔のあいた孔−植物−」立体「孔の集積」植物に焦点を当て、外皮としての花、種子、あるいは受粉、細胞に至るスケールが共存した平面作品である一方で、面の集積として、ある「孔」空洞をつくっているが、もう一歩、内皮と外皮の関係について踏み込んで考えられるとよかった。(三角)









1X14A057 小谷 春花 A++  A+
組み合わさった手から中身がぬきとられ、ぬけ殻のような皮膚だけが残る作品。ガムテープや接着剤の荒々しい質感を真逆の質量の「軽さ」が作品をより不気味なものへと導いている。空っぽの空虚な手の穴だらけの重なり。(村上)
























1X14A145 宮原 萌 A++  A+
surfaceと題され、青と黒によって塗り潰された夜の湖畔風景のドローイング作品と収納と題された、縮小模型の作品。充填された水によって現れる「境界」としての湖の「境界」とが、我々の在る地球という一つの孔に空けられた孔として浮かび上がる。渾身のドローイング作品である。さらにその「境界」を身体の身近なscaleまでおとした時に、物や行為によって生まれる「境界」をダブルスケールの模型による立体作品として表現しており、孔を穴としてだけではなく、「境界」をもった領域であるととらえた点が秀逸である。(早田)













1X14A148 森 一之助 A++  A+
立体は境目。ドローイングは呼吸器官。木材の直方体のブロックの木口、木端の面に穴が貫通している。穴にシールが充填されている。木のブロック、貫通する穴、穴の代替材としての白いシールの同筒体という三つの様態に変換され、実と虚の観念のなかに孔のあいた孔の立体を構築したといえる。(入江)









1X14A164 鷲尾 拓哉 A++
skinと題された人間の皮膚の領域をハリガネによる線で表現した立体作品。人間こそが多孔質であるということを逆照射している作品。塊に見える人体こそが、孔のあいた孔であるということであるということを明確に示している作品である。(早田)


















1X14A042 木内 星良 A++ 

小箱の孔を操作することで、様々な孔の形態が出来る過程を体感し、自ら孔となることができる作品。小箱をどこに動かしても孔が連続するという構成と孔という主体になりうるという発想は良いが、模型作品と言えるまでのモノとしての力が箱やうがたれた孔になかったのが残念である。(村上)










 


1X14A080 鈴木 聖己 A++
定形である屏風とじの紙を、横断するように切断した作品。思いがけない形状ながら確かに孔を構成しており、かつ触れているうちに定形がどんどん不安定な形に崩壊していく緊張感は非常に興味深い。完全に開ききった結果が、再び平凡な平面に戻ってしまうのが残念。(山本)





















1X14A054 桑田 芙貴子 A++
Drawing「刻む」黒い紙面に白い点描が砂時計のような形を呈している作品。「刻む」という主題から連想される「時」という概念。その事実に対峙するように「孔」という空間の概念まで、昇華されていく表現としては多少弱いといえる。しかし、眼のつけ所は非常に良い。(三角)



















1X14A121 平井 周介 A++
孔のあいた孔。呼吸器を念頭に置いた段ボール(見込み厚の大きい)をもって立体作品のように制作している。表装の紙をやぶって露出した断面と、円形に整えて切り離して一部に紙を残したものに、ニスのようなものを塗り付けて仕上げている部分に、呼吸する皮膜性が感ぜられてくるところを拾いたい。(入江)





















1X14A125 福井 亮介 A++
Drawing「寄生虫」人体に巣食う寄生虫。おそらくは、口という「孔」から食道を通り、人体へ寄生していく様態を描きながら課題に対してストレートに応えてくれており、作者に好感のもてる作品となっている。(三角)







1X14A160 米満 光平 A++
散弾銃の弾痕のように、無数のパンチであけられた孔と丸い切りくずの集積。それが失われたことで孔を生成した「孔と共存し得ない要素」に注目した点は面白いが、それを提示したところで作品がとどまってしまっているのが惜しい。(山本)




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