C3 「あるような ないようなあるいは「inframance」について」




2015 設計演習C 第三課題 

あるような、ないような あるいは『inframance』について





声にならない声。意識の下に眠る感情まぶたの奥に残る光の残像。
「ある」とは「なし」とは?マルセルデュシャは「アンフラマンスJ という言葉を制作メモに残しています「極薄の」と翻訳されるこの概念は、例えば「座席を立った後に残される人の温もり」 がそれであるとされています「ある」「 なし」が極限までに薄まった、受け手に委ねられる状況とも言い換えられるでしょう。
身の回りにある、あるようなないような、捉え難し、瞬間的な現象を捉え、まずはその現象を「inframance 」に代わるあなたの言で置き換え、タイトルを完成させて下さいそしてあなたの見つけ出した現象を、「ドローイング作品として提示して下さい。
提出物:ドローイング275x275 の用紙の中にレイアウトする。
枚数. 表紙+2 枚以上
材料・表現する方法に準拠した材料を選択すること


出題: 10 21
提出: 10 28
講評11 10
責:村上佐恵子














1X14A136  真木 友哉 A++
カーブミラーの前を通り過ぎる人々の独り舞台が続く。主体は鏡に写った自分自身を見ることはあっても演じている主体自体が見られることは決してない。目撃者は空虚な鏡のみ。循環する色彩の選択とテーマと合致していて秀逸。(村上)












1X14A038 軽部 蘭 A++
素朴な絵柄と柔らかい色遣いが魅力的な作品。課題への小田へとしては疑問符がつくが、それを補って余りある構成の巧みさが光る。これを無色で行えば、あるいは出題の趣旨に沿ったものとなったかもしれない。(山本)


















1X14A021 江頭 樹 A++

記憶ということに関わる現象をテーマにしている。意識の対象にのぼったものが顕在と潜在の境界を往還する。それはかすれた漆喰に埋まり込みつつある物象のような表われ方をするのかもしれない。その3つの様態として表現している。もっと大きく表現すべきだったように思う。(入江)






















1X14A129 古垣ゆかり A++
目の瞬きの一瞬一瞬をコマ送りにした作品。24コマにわたる力作。1コマ1コマの微妙な差異を追いかけているうちに描かれている主体が年齢を重ねていることに気付く。表紙にたらされて青いしずくと1つ目の瞳にのみ宿る青のにじみが象徴的。(村上)






















1X14A063 小林 雄樹 A++

「みえない たまにみえる おれ めがね だれか」金属板にけがかれたエッチング。描かれた主題と表現が解離しているものの、作品の中の表現は力強く、消失したようなテクスチャはそのエッチングの表現を強めている。(三角)



























1X14A002 青木 日向子 A++
あるような ないような あるいは「光に由来するもの」についてと題された青の作品。厚手の布地からフェルト地、光沢のあるプラ、トレペとテクスチャの差異によってそこに”ある”光と”ない”光を表現している。青という最も波長の短い色を選んだ点も、光の効果に対して成功している。欲を言えば、表紙と背表紙の工夫があれば、もう一つランク上の作品として、認識されたのではないか。表題も秀逸である。(早田)











1X14A156 山本 圭太 A++
「幻肢 海という感覚」海を掌握している表現は、作者独自の表現感覚として、圧巻のものがある。海という絶えず流動するうごめきに、「肢」という、身体感覚を与えているところに、生命の営み、としての「海という感覚」が表れている。(三角)
































1X13A802  矢尾 彩夏 A++

羞恥心をテーマに、「あるような ないような」ものが我々の心の中にこそ存在することを表現しようとしているのだろう。顔の漂白された匿名のヌードが強い印象を与えている。(山本)

































1X14A057 小谷 春花 A++
「盲への美意識」曖昧な輪郭線の境界。滲み合う色彩の中で黄色と青色といった補色の関係を光と影に置換してとらえていている。人、特に女性の持つ、流麗な所作に対し、柔らかさを作者自身の関心も相まって、豊かな一連の表情をつくり出している。(三角)














1X14A022 大木 玲奈 A++
線描で描いた町並みと反転して下に描いて彩色した町並みが並置してある。私たちが「視る」とき、その輪郭をみているのだろうか。「視る」ことを抽象化して描くことに臨んだような作品。もしかしたら輪郭に、世界に舞う鱗粉のようなものが付着した度合を認めることが「視る」ことなのかもしれない。問題提起的な作品。(入江)












1X14A150 森 奈穂美 A++
お地蔵さんに赤い前掛けがかかっていることを描写した作品。願掛けの際にお供え物をする習わしは、時間の中で人々が作り上げたものであるが、願いが叶うかどうかの確証は、あるようなないようなものである。そんな人の信仰のような行動の痕跡として描いている。お地蔵さんの表現は強いタッチで描かれているが、前掛けの方が少し簡易的にみえてしまうのがもったいない。(濱島)

















  1X14A053 黒沼 舜 A++
カラフルな男性たちの像。しかし彩色された表皮をはぐと平面的な目をつぶったほぼ同じ表情の群集がたちあがる。「個性」はありふれたテーマなようだが、ファッション誌のイラストのような、あえてPOPな表現にしたのが良い。(村上)



























1X14A043 木枝 周平 A++
階段における日常の所作を、フットプリントとして表した作品。おそらく、突き当たりで90°回転してのぼる階段であるのだろう。足の動作が最後のズレとして表現されている。実際の空間を切り取った力作であるが、複数のプリントされた足や色の違う足が、全て同じ人の同じ所作であることが、作品の主張を弱めているのではないか。作為的な途端でなく、日常の所作を切り取りたかったはずだ。(早田)





























1X14A116 範田 明治 A++
透明塩ビ板に付着する溶剤がラインを垂直方向に間をおいて幅を変えて描かれる。その中央部を方形にして刳り抜いて180度回転してもう一枚の塩ビ板に転写される。僅かな起伏のコスレおちそうな素材感に「あるような、ないような」虚の在り様が感ぜられてくる。作品の作り方の精度が問われよう。(入江)















1X14A120 百武 天 A++
「体験する視界」と題された回転する作品。人間の目が起こすモアレをねらった作品んであり、シンプルな構成の中にまとめられた、品のいい作品である。反面、275×275の用紙の枠の中で終止してしまっており、そこから発展するエネルギーが見出せなかった点が残念である(早田)


















1X14A015 稲葉 智志 A++
2枚の長いトレーシングペーパーを重ねる中で僅かな変化が生まれてくる。重なり方の微細な違いに、あるようなないような変化を感じられる。2枚がくっついたままでなく「剥離」することでトレーシングペーパーに吹かれた色彩の豊かさが引き立ち、作品として力強さを持ってきている。(濱島)









1X14A125 福井 亮介 A++
白い紙に白い絵具が塗られたある意味最も今回の課題にふさわしい作品。過去にはスチレンペーパーにジェッソを塗った作品があったことを考えると同じ白の中でもう少しテクスチュアに差異をつけることも可能だった筈だが、敢えてその分かりやすさを拒否した判断に敬意を表したい。(山本)





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